がん、感染症、マイクロバイオームなどの研究アプリケーションにおけるマルチプレックス技術の実証
プロテオミクスおよびゲノムのマルチプレックスアッセイにおいて、LuminexのMAP® テクノロジーほど長い実績を持つハイスループットのライフサイエンス技術は多くありません。数十年にわたって市場で利用され続けてきた結果が、ビーズベースのプラットフォームを使用して得られた分析結果を引用した多くの論文につながっています。実際、xMAP® テクノロジーとパートナーのxMAP® 製品を使用した査読論文は、現在60,000報以上あります。
MAP® 製品ユーザーの論文を追跡することは、Luminexの技術を利用する研究者の多くの創造的な方法についての情報を得るのに最適な方法の1つです。2023年の初頭に、2022年の論文のハイライトを再確認するべきだと考えました。2022年1月から9月にかけて発表されたxMAP® テクノロジーが使用された約4,000の論文の中から、マルチプレックスアッセイが新しい知見をもたらしたものを、幅広いアプリケーションからそれぞれ代表するものを選択しました。
がん研究
論文タイトル: 局所進行または転移性肺扁平上皮癌のに対する第一選択療法におけるパクリタキセルリポソーム注射液 (Lipusu)とシスプラチン併用療法とゲムシタビンとシスプラチン併用療法の比較:多施設、無作為化、非盲検、並行比較臨床試験
出典: Zhang J, et al., Cancer Commun, Jan 2022, 42(1):3-16. DOI: 10.1002/cac2.12225
この論文では、研究者は局所進行性肺扁平上皮癌の標準治療と新しい治療法を比較するために、多施設共同無作為化第Ⅲ相試験を実施しました。 xMAP® テクノロジーを使用したサイトカイン レベルの分析により、特定のサイトカインの特徴が治療法の奏効と無増悪生存期間の改善に関連していることが示されました。
ケモカインとサイトカイン
論文タイトル: 新生児ケモカインマーカーは、自閉症スペクトラム障害と発達遅延のその後の診断を予測
出典: Kim D, et al., Brain Behav Immun, 2022, 100:121–133. DOI: 10.1016/j.bbi.2021.11.009
研究者はxMAP® テクノロジーを用いて、新生児血液スポットからサイトカインとケモカインの発現パターンを解析し、定型発達、発達障害、自閉症スペクトラム障害の小児を層別化しました。幼少期のケモカインの調節異常が発達を妨げ、自閉症と診断される可能性があることがわかりました。さらに、研究チームは、自閉症に関連する可能性があり、最終的には診断に役立つ可能性がある特定のケモカインも同定しました。
マイクロバイオーム
論文タイトル: 亜鉛は、自閉症スペクトラム障害に関連する消化管の発達、マイクロバイオームの構成および炎症の重要な制御因子
出典: Sauer AK, et al. Cell Mol Life Sci, 2022, 79:46, DOI: 10.1007/s00018-021-04052-w
特定の条件下で培養させた 3次元腸管オルガノイドを用いて消化管の発達をモデル化した結果、亜鉛欠乏が消化管の発達とマイクロバイオームの構成に大きな影響を与えることが明らかになりました。この研究では、妊娠中の亜鉛欠乏症が、「リーキーガット」や自閉症などの関連疾患に影響を与えることが示唆されました。
小児肥満
論文タイトル: 小児肥満における非侵襲性バイオマーカーとして可能性がある唾液Fetuin A、インスリン、およびアディポネクチンのマルチプレックス測定
出典: Selvaraju, A, et al. Cytokine, 2022, 153:155843. DOI: 10.1016/j.cyto.2022.155843
小児肥満の研究を行っている研究者は、76人の小児から唾液サンプルを採取しました。xMAP® テクノロジーを使用してFetuin A、インスリン、アディポネクチンなどの唾液マーカーを測定した結果、肥満の小児ではFetuin A とインスリンが増加し、アディポネクチンが減少していることがわかりました。 研究を進めることにより、これらのマーカーは、小児の肥満発症リスクを早期に予測して介入できるようになる可能性があります。
デング熱
論文タイトル: デング熱感染診断のためのペプチドバイオマーカー
出典: Falconi-Agapito F, et al. Frontiers in Immunol, January 2022, 13: 793882, DOI: 10.3389/fimmu.2022.793882
科学者は、デングウイルス感染に関連する20のペプチドについてxMAP® テクノロジーを用いてビーズベースのイムノアッセイを開発し、その有用性を判断するために数百のヒトサンプルを用いて評価しました。6種類のペプチドの分析により、ウイルス検出の感度が向上することがわかりました。
結核
論文タイトル: 活動性結核と潜伏性結核における識別抗体フィンガープリントの定義
出典: Nziza N, et al. Frontiers in Immunol, April 2022, 13:856906, DOI: 10.3389/fimmu.2022.856906
研究者は、xMAP® テクノロジーを用いて、HIVに感染している患者とそうでない患者の活動性結核と潜在性結核を識別するための研究を行いました。成人結核患者の体液性免疫反応を測定し、感染の両段階に関連する一連の抗原特異的抗体プロファイルを特定しました。
COVID-19
論文タイトル: xMAP INTELLIFLEX™ DR-SE システムを用いたシングルアッセイでの、SARS-CoV-2スパイク、RBD、ヌクレオカプシドに対するIgM抗体とIgG抗体の同時測定
出典: Cameron A, et al. Microbiol Spectr March/April 2022, 10(2), DOI: 10.1128/spectrum.02507-21
研究者は、SARS-CoV-2感染の血清学的アッセイをxMAP INTELLIFLEX™ DR-SE システムで測定するように変更しました。このシステムのデュアルレポーター機能により、シングルアッセイで複数のSARS-CoV-2抗原に対するIgMとIgGの両方の抗体反応と、経時変化に伴う中和能を同時に測定することができました。