老化細胞をより深く理解するために、Amnis™ ImageStream™X Mk II イメージングフローサイトメーターが最近の研究で使用されました。
私たちの体は年齢とともに損傷細胞を除去する体内機能が低下し、循環器疾患、がん、神経変性疾患といった、さまざまな健康障害の発症リスクが高くなります。
老化マーカーの1つは、細胞がもはや分裂しない状態になる細胞老化です。これらの損傷細胞はアポトーシスに抵抗性を示し、隣接する細胞や組織に影響を与える有害な物質を放出します。老化細胞は新しい診断・予後予測の開発に向けての有望な標的ではありますが、老化関連の表現型やマーカーが多様であるため、老化細胞の特定には時間と労力を要します。
イメージング フローサイトメトリーは、加齢関連疾患の細胞メカニズムをより深く理解するために役立ちます。たとえば、LuminexのAmnis™ ImageStream™X Mk II イメージングフローサイトメーターは、迅速な画像取得や機械学習の機能を有しているため、テロメアの欠失やLC3のクラスタリングなどの老化マーカーを研究するうえで役立ちます。
老化を理解する
細胞老化については何十年も前から知られていましたが、最近になってこの分野の研究に対するサポートが強化され、新しい洞察を促進する技術基盤が整ってきました。
たとえば、従来のフローサイトメトリーは、細胞集団の特性を研究する場合に役立ちますが、老化を研究する場合には限界があります。なぜならこのアプローチは、混在する細胞集団内において、肥大した老化細胞と増殖細胞グループの区別に必要な画像と感度が欠けているためです。
多様な表現型に加えて、老化細胞は独特の形態を有しており、若い細胞よりも自家蛍光が強いことが知られています。Amnis™ AI ソフトウェアの機能を備えたLuminexのAmnis™ ImageStream™X Mk II イメージングフローサイトメーターは、細胞の形態学的な特徴と自家蛍光を組み合わせて老化細胞を識別します。また、オートファジーのレベルを評価する際のLC3タンパク質レベルの情報も組み込まれています。さらに、老化の重要な指標であるテロメアシグナルの欠如を、サンプルごとに数万枚の画像で定量的かつ自動的に測定できます。
循環器疾患の研究
最近発表された「Simple Detection of Unstained Live Senescent Cells with Imaging Flow Cytometry」の論文の著者らは、イメージングフローサイトメトリーを用いて末期心不全患者の心筋細胞の培養から老化細胞を検出する方法を実証し、従来のフローサイトメトリーよりも優れた感度で検出しました。しかも、この方法は染色などの追加ステップは不要であるため、サンプルの準備と実行時間が短縮されました。
このように、著者らの実証によって、イメージングフローサイトメトリーは診断・予後予測に有効であることが示唆されています。このアプローチによって老化を定量化し、セノリティック化合物(老化細胞を死滅させる化合物)の影響を評価することが可能になると述べています。そして、「この方法は、細胞の起源や老化を誘導する手順とは無関係に、簡単かつ迅速な老化アッセイとして使用できる」と結論付けています。